クリームプリン

「あ〜 いちゅごな〜ぅぅ〜!」

今日は真壁家で、一騎とオヤツを待っていた総士は、目の前に出されたプリンを一目見て叫んだ。昨日は同じ器に入って、上には真っ赤な苺がびっしり載っていた。それが、今日のプリンにはない。

「今日のはクリームプリンなの」
「いちゅごぉぉ〜 さっちあたのれしょ〜」
「さっきじゃなくて、昨日のはね」
「らぁ ちの〜のぷりゅんがい〜 ちの〜の!」
「今日のクリームプリンもおいしいのよ」

クリームが小さな星形にツンツン並んでいるのを見せると、一騎はもうニヘニヘ♪しながらスプーンを構える。総士は口をとがらせる。

「らぁさ あちたは ちの〜にちて」

真剣な総士の言い分に、お茶を淹れていた紅音が笑い出す。

「なかなか哲学者ねぇ、そし君」


……頑固の片鱗でしょうか(笑)

いちごプリン

「あ〜♪ そち ゆぃこらったぬぅ♪」

オヤツのイチゴプリンに目を輝かせた総士は、鞘と公蔵に向かってキラキラ笑った。言葉の最後に「〜ね」と言っているはずか大人には「〜ぬぅ」に聞こえる時、総士はとてもはしゃいでいる。いちごのプリンは総士をハイテンションするらしい。公蔵に通訳しながら、鞘は笑って総士をキチンと座らせた。

「良い子にしてたご褒美だと思ってるみたいよ。特別良いコトもしてないのにね」
「じゃあ、良い子でないときのおやつは何だ?」
「なんだと思ってるかしらね」

プリンの上にぎっちり並ぶイチゴを見つめていた総士は、スプーンを握るとニッコリして話しかけた。

「よくちてくぇたぇ ちかれたれしょ〜」

「どういうことだ?」

目を点にした公蔵に説明を求められても、鞘も首を振るしかなかった。親を悩ませているとは知るよしもない総士は、ねぎらったばかりのイチゴをおいしくいただいているのだった。


……総士の「よくちてくぇたねぇ」は西尾のおばちゃんの口まねだったりして(笑)

ちび月餅

小さくてもぎっちり実の詰まった月餅の箱が卓袱台に置いてある。甘い匂いがするので、一騎はウキウキ開けようと持ち上げた。

「おぉん!」

見た目よりずっと重く、ぴっちりビニールパックされているので、ゴトン、と取り落とす。紅音と鞘が見ていると一騎は何度か挑戦して、ようやく持ち上げると、そのまま齧り付いた。

「あっ! 一騎っ!」

  ぴっ

噛みつき攻撃から歯に日かけってビニール破りに成功すると、一騎はひと思いに箱の端を囓りとった。

「すごいわねぇ、一騎君…」
「そこ、褒めちゃダメ!」

どや顔の一騎が月餅に到達したころ、積み木を片付けていた総士もやって来た。一騎が開けた処から、ころり、とひとつ小さな月餅がこぼれ落ちた。

「あゃ こちた!」

総士は、目の前に転がった月餅を拾う。やって来た総士に見せようと、一騎は箱を掲げる。一騎が得意げに囓り開けた穴を見せると、総士は真面目な顔で拾った月餅を押し込む。その様子に紅音と鞘は顔を見合わせた。

「あらら、そし君、せっかく…」
「おやつなのに…」
「いつ気がつくか、賭けない?」
「もおっ!」


……ぴよっこ総士はきっと、月餅と史彦の焼き物の区別がつきません(笑)

レモンチーズパイ

「あ ぷぃん♪」
「違います、これはレモンとチーズのクリームパイなの。ほら、色が違うでしょ?」
「ちあわない」

最近、総士はちょっと素直ではない。何かと「ちあう」を連発する。とりあえず何でも「あい♪」とカワイイお返事していたのが、小理屈こねてみせたり、むくれたり、鞘も一筋縄ではいかなくなっていた。比べて見せても、言い張って聞かない。

「香りが違うでしょ、レモンの…」
「ちない!」
「します」

きっぱり言った鞘は、総士のマグカップを引いた。

「あ!」
「おやつ食べないなら、牛乳もいらないのでしょ」
「おあつちる!」
「それなら、ちゃんと座って、いただきますしてね」
「あい」

「いただいま♪」で、いざ食べ始めると、総士は最もらしい顔で頷く。

「こぇ ぷりゅんらなぁね」
「ね、違うでしょ」
「あい♪ ちあう♪ ちあう♪」

思う存分「ちあう♪」を言えて満足そうな総士に、鞘は苦笑い。


……総士もなかなか難しいお年頃(笑)

キャラメルクリームパン

「もぉぉ♪」

「らいしゅちぃぃぃぃ♪」

なんのストレス発散なのか、総士が叫びながらキッチンからリビングへ走り抜けた。片腕にはキツネさんを抱えていて、ふさふさシッポがなびいていく。もう片方にトーチのように掲げているのは、コロネパンだった。すでにひとつ食べていて、庭仕事している公蔵のところへ、持っていこうとしているのだった。

「ぱぁ〜ぱぁ〜 こぇ しゅちぃぃ〜♪」
「ん?」

たとたと芝生を走ってきて、総士は冬囲いを直している公蔵へ「うあい!」と伸び上がって差し出した。

「こぇあね〜 しゅごくしゅごくしゅてちらの♪ くいーむれしょ かあめるれしょ〜♪」
「うん、いい匂いがするな。総士は食べたのかい?」
「あい♪ こぇ ぱぱの れもね た〜へんらな そち おれつらいちてあぐうよ」
「そうか、総士も手伝ってくれるか」

ぴっかり笑って、総士はちゃっかり一番たくさんクリームが入っているところをパクリ。

「ぱぱ もちとつ?」

うふ♪っと首をかしげて聞く総士に、うっかり頷きそうになった公蔵の視野の端に、ちょっとコワイ眼つきでこっちを見つめている鞘が映った。総士のおねだり食いもしっかり見ていたらしい。

「そうだ、パパはコーヒーを飲みに戻るんだ。 さ、総士も一緒においで」
「しょなの?」

やって来た時のテンションを削がれてしまった総士は、キツネさんごと公蔵に抱えられた。


……総士の「ちゃっかり」計画は志半ばで失敗(笑)
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